クリスティーナ母さん・・・俺、ロックで頑張るよ フェルナンド・モレノ、15歳の春。 「くそっ、また負けちゃったよ。。。やっぱウッドラケットじゃ 勝てないのかなぁ」 F国ジュニア杯、モレノ、ライバルアランに決勝7−6・6−7・ 6−7で敗退。 「ごめんね。フェルナンド、かあさんが病弱であまり働けないから ラケット買ってあげられなくて・・」 「いいんだよ。かあさん、俺の実力が足りないだけなんだから」 「気にすんなよ」 「夏の国王杯ジュニアでは絶対俺が優勝するからさ」 「そうよ。おばさん。フェルナンド、またマッチポイントでダブっ ちゃうんだもん」 「おい、ジャニス、それは内緒だろ!」 フェルナンドとアラン。 6歳の時からライバル関係にあった。 蒼いラリーマシーンの異名を持つフェルナンド。 そしてバナナサーブからバナナボレーを決めてくるアラン。 最初にフェルナンドが8連勝するも、その後、アランが8連勝している。 アランがプリンス、グラファイトにしてから連敗中である。 フェルナンドは8歳のときから使用しているウッドラケット。 本当はフェルナンドも新しいラケットが欲しいが、母子家庭のモレノ家 にそんな余裕はなかった。 そんなフェルナンドに、追い討ちをかけるような出来事が起きる。 フェルナンドが6年ぶりに国王杯でアラン以外に敗れたのだ。 優勝を目指していたフェルナンドにとってはショックだった。 テニスラケットの性能の違いが、戦力の決定的差であることを まざまざと見せ付けられた気がした。 フェルナンドはいつしかコートに現れなくなった。 「ウッドラケットじゃ勝てない・・・」 フェルナンドがコートに立たなくなって3ヶ月が過ぎた。 「フェルナンド、フェルナンドったらぁ」 「なんだよ、ジャニス」 「今日は日曜日だぜ」 「みせたいものがあるの」 「どうせくだらないものだろ?」 「えっ!?」 「どうしたんだよ、コレ」 「ロックじゃん」 「あのインチキくさい日本人がやってるとこで売ってたの」 「ラケットショップカネコか・・」 「でも、お金は?」 「私からのプレゼントよ」 「フェルナンド」 「ずっと欲しがってたでしょ。新しいラケット」 「クリスティーナかあさん・・・」 フェルナンドは冬の選手権で復活した。 サーブ、ボレー、スマッシュ・・・全てにおいてウッドラケットより ちょっとだけマシなロックを使うフェルナンドに敵はいなかった。 そしてアランとの決勝も6−0・6−0の圧勝。 テニスラケットの性能の違いが、戦力の決定的差でないことを まざまざと見せ付けた。 蒼いラリーマシーン復活の時だった。 しかし、と同時に悲劇が待っていた。 「か、かあさーん!!」 「なんとかいってくれよ、かあさん、ねぇ」 クリスティーナは過労がたたって、倒れ、そして帰らぬ人になった。 クリスティーナの遺品からはフェルナンドが日本人であり、そして平作川 に捨てられていた双子の片割れであること、そして兄和也、弟茂樹という 名前であり、フェルナンドは茂樹であり、和也は左利きであることが示さ れていた。 茂樹には日本人であることだけが告げられ、そして茂樹は、とある財閥の 御曹司として引き取られることになる。 茂樹は日本にたった一つの宝物を持って、来日する。 育ての母の形見、ロックを持って・・・。